受精卵の卵割(細胞分裂)は、卵黄の量と配置によってその進み方が大きく変化します。
今回は、両生類の卵(カエルやイモリ)に代表される弱端黄卵(じゃくたんおうらん)の卵割プロセスを解説します。先ほど解説した等黄卵(ウニ)との違いに注目しながら、なぜ割球の大きさに差が生じるのかを押さえていきましょう。
1. 弱端黄卵の特徴と「卵黄の抵抗」
弱端黄卵は、カエルやイモリなどの両生類の卵に見られるタイプです。
-
卵黄の量と分布状態: 卵黄の量はやや多く、植物極側(下側)に多く偏って分布しています。
-
粘性と卵割の妨げ: 卵黄は粘性が高く、細胞分裂(卵割面)の進行を遅らせる妨害物質として働きます。植物極側に卵黄が密に詰まっているため、植物極側の分裂速度は動物極側(上側)よりも遅くなります。
-
卵割の様式: 卵全体は分割されるため全割(ぜんかつ)ですが、割球の大きさに偏りが生じるため不等割(ふとうかつ)を行います。
2. 1回目〜3回目の卵割(ずれる緯割)
1回目と2回目の分裂の向き(経割)は等黄卵と同じですが、第3回卵割で決定的な違いが現れます。
第1回卵割(1細胞 → 2細胞期)
-
分裂の向き: 経割(けいかつ)(動物極から植物極に向かう縦の分裂)
-
特徴: 動物極側から分裂が始まりますが、植物極側は卵黄の抵抗を受けるため、下まで割れ進むのに少し時間がかかります。
第2回卵割(2細胞 → 4細胞期)
-
分裂の向き: 経割(第1卵割面と直交する縦の分裂)
-
特徴: 第1卵割と同様に、動物極から植物極へと縦に割れて4個の割球になります。
第3回卵割(4細胞 → 8細胞期)★超重要!
-
分裂の向き: 緯割(いかつ)(横の面での分裂)
-
特徴: 植物極側は卵黄の量が多く分裂しにくいため、赤道面よりも動物極側に近いところで卵割が起こります。
-
生じた割球: この上下にずれた緯割によって、8細胞期では以下の2種類の割球が形成されます。
-
小胚胞(しょうはいほう): 動物極側にできた小さめの割球(4個)
-
大胚胞(だいはいほう): 植物極側にできた大きめの割球(4個)
-
【テスト必須ポイント!】
等黄卵(ウニ)の第3回卵割は赤道面で割れるため同じ大きさ(等割)になりますが、弱端黄卵(カエル)は**「植物極側の卵黄を避けるように、赤道面よりも動物極寄りで割れる」**ため、3回目の時点ですでに大きさが異なる割球(不等割)が生じます。
3. その後の卵割と胞胚期の構造
8細胞期以降も、卵黄の少ない動物極側(小胚胞)は素早く分裂を繰り返して細胞数が一気に増えます。一方、卵黄の多い植物極側(大胚胞)はゆっくりと分裂するため、大きな細胞のまま残ります。
この分裂速度の差により、胞胚(ほうはい)期になると内部にできる空間(胞胚腔:ほうはイクう)も中心ではなく、動物極側に偏って形成されるという特徴があります。
まとめ一覧表(等黄卵との比較)
| 項目 | 等黄卵(ウニ) | 弱端黄卵(カエル・両生類) |
| 卵黄の分布 | 全体に均等 | 植物極側に偏る |
| 卵割の様式 | 等割(全割) | 不等割(全割) |
| 第3回卵割(緯割)の位置 | 赤道面 | 赤道面より動物極側寄リ |
| 8細胞期の割球 | 全て同じ大きさ | 小胚胞(上4個)・大胚胞(下4個) |
| 胞胚腔の位置 | 卵の中心 | 動物極側に偏る |
「植物極側の卵黄の量が多いため、分裂面が上(動物極側)に押し上げられる」というメカニズムをイメージで覚えておくと、暗記しやすくなります。

コメント